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一緒に移動するはずだったアンティエさんの到着が遅れているということで、パリまではメトロで移動することになった。乗り換え含めてどこへ行っても1ユーロととても良心的な値段で、空席も多いので日本よりも気軽でゆったりしている(帰りは黒人に絡まれて大変だったけれど…)。ユースのあるポアジからパリの中心街までは半時間程度で、着いてからのことを考えているうちにオランジェリーのすぐ側にある駅についてしまった。


オランジェリーは開館前だったので、そのまま少し歩いてオルセー美術館へ。日本人が好みそうな作品群をこれでもかというくらい並べた巨大な駅に、少しめまいがする。全部をじっくり見るのには一月くらいかかりそうで、脳内はパンク寸前。好きなところだけじっくり見て、その後は目的もなくただ街を闇雲に歩いた。


古今東西あらゆる芸術が溢れる古都。小説の舞台に群がる観光客。五感を上手く使わないと何か人の作った流れに飲み込まれそうな気がしたから、とにかく足を使った。呼吸して、流れを感じて、感覚的に道を選ぶ。


最初に落ち着いた場所は、広い公園、錆びた大砲に囲まれた広大な芝生の上。マーケットで買った小さなリンゴをかじりながら、老人達が何かボールのようなものを使ったゲームに興じているのを眺める。なんだか自分が遠くにいるような気がしない。空港についてからずっとそんな感じで、ベンチに座っているとなんだか溶けてしまいそうな気がした。一体自分が使わなかった分の時間はどこへ行ったのだろう?空の上を越してきた土地を足で辿らなかった分だけ、虚しかった。


公園を後にして、再び人のいない、暗い匂いがする方向に向かって歩く。観光客の姿は見えない。紙袋にパンを包んだ老人に、曇った表情で石畳を見つめながら歩く女性。しっとりとした空気の中、ぽつぽつと雨音が通り過ぎてやがて夕立になった。橋の下での宿り。ドイツカラーの船上レストランが霞に映えて綺麗だった。親子連れが遅れて入ってきて、目が会うと少しだけはにかんだ。少し雨の勢いが弱まったところで親子と別れ、再び歩く。足はいくらでも動いてくれる。





急な坂の上に、小さな教会が見えた。けれど坂の入り口まで来たところで今度は嵐のような降り方になってきたので、仕方なく目に付いた屋根の下で雨宿りをした。そこはホームレスなのかヒッピーなのかよくわからない謎めいた親父の寝床のようだった。雨に興奮すると、にかっと笑って歌いだす。出鱈目のようですごくハッピーなメロディを、不器用に辿る。遅れて入ってきたハイネケンの瓶を持った男。向こうでは高校生くらいの若者がなにやら喧嘩を始めた。土砂降りの雨にヒッピーの唄、ハイネケンに罵り合い。なんだか変な感じではあったけれど、3日目にしてようやく日本を離れた感覚を得たような気がした。


スイスは別として、フランスからスペインへ抜けた時には国境を越える感覚が無かった。通貨の両替も必要なく、パスポートの提示も要らない。交通手段は発達し、世界との距離は、うんと近くなっている。でも、ほんとうにそうだろうか?


ウラル山脈にシベリアの大地、北欧の森やアルプスの山々。空の上からそれを見たとき、テーマパークにいるような錯覚に陥った。日本から、ヨーロッパ。頭では理解しているつもりでも、体は納得していない。


「お前は本当に此処へ来たのか?」


どうしようもない問いが頭の中ををループする。
答えは何処にあるのか、未だにそれを見つけられずにいる。


| ふらんす | 10:01 | comments(2) | trackbacks(0)
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COMMENT
リンクにあるブログ、ショウノスケ君っていってちょうどスウェーデンに留学中だよ。
| chai | 2006/11/19 11:17 PM |
おれ北欧に留学したい
| room13 | 2006/11/19 10:08 PM |
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ハロー 時々文章書きたくなって、ブログしてます。暇だったらよろしくー
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