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白いテーブルクロスにぼんやりと光が落ちて、開演前の空気に融けてゆく。感覚を狂わせる巨大な美術館は、昼とは違う表情でそこにいる人々を内包している。白い壁の境界は曖昧で、揺るぎないはずの地面が急に不安定なもののように思えてくる。地震のときに感じるような、不安の中に混じった純度の高い興奮が胸に溢れて、視界が妙にブレる。


ピアノとアコースティックギターのデュオが登場すると、室内の温度が少し上がった。音のうねりが、信じられないくらい高い天井へと駆け上がり弾ける。空気が伸縮して、時間の感覚が無くなる。なんだか本当にあっという間で、密な時間。鳴り止まない拍手の中に、会場全体でハミングしたメロディがフィードバックした。


外に出ると、時刻は午前1時近い。死ぬほど疲れているはずなのに、そのままどこへでも行けそうな気がする。もうとっくにガス欠のはずなのに、それでも不思議と力が漲る。


ふと人間って、本当はもっとタフな生き物なんだと思った。本当にそれが束の間の出来事であれ、美しいものを分かち合い自身の糧にすることができる。あらゆる経験に学び、自身の美意識を形作ることができる。


ホテルはビルバオの高台にあるユースホステルで、多くの白人パッカー達が夜通し騒いでいた。部屋に荷物を置いた後ホテルのパティオに出ると、祭りの喧騒の中で何人かのヒッピー達が物憂げに座っていた。朝になれば、祭りは終わる。会話と言う形をとらなくても、少しだけ気何かを共有できる瞬間がある。いつベッドに入ったのかは覚えていない。けれど、目覚めたときのビルバオは日常の形に沈んでいた。

| すペいん | 17:53 | comments(0) | trackbacks(0)
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